
目的に応じた洋書の使いわけ
やさしいようでなかなか難しいのがここです。
私も若いころに忠告されたのですが、実際にできるようになるまで4年かかりました。
自分が先入観を持って人と向き合っていることが、自分ではわからないからです。
私たちは偏見という名の帽子をたくさん持っていて、まい、いつの間にか自分の視界を狭めてしまいます。
「この人はこうじゃないかな」と、無意識のうちに、自分のものさしで相手を計ってしまうのです。
ついつい深くかぶりすぎて相手の言葉をありのままに受け止める。
自分を無にする。
Mの『A』に、自分を勘定に入れずに、というフレーズがありますが、インタビューするときのコツはこれです。
「私の肩書はこれ」「私はこういう会社の者だから」と、気負ってしまうとうまくいきません。
先入観を持たないと言っても、頭をからっぽにするわけではありません。
観察力は必要です。
観察する。
洞察する。
今相手はどういう状態なのか、今この話をしたいのか、もっと他に何かありそうだなと感じ取っていく。
早く聞きたい質問があっても、「どうも雲行きがあやしいな。
今は聞かない方が良い」と感じたときは、さっと引きます。
話をしているうちにお互い打ち解けてきたら、大切なことをポンと聞く。
「実はこれですが」と、大切な質問をするタイミングを計るわけです。
その場の空気を理解すれば、おのずとタイミングも見えてきます。
もし相手の話が聞き取れず、意味がわからないことがあれば、遠慮せず聞き直します。
「申し訳ございませんが、今のところをもう一度おたずねしてよろしいでしようか」と、少しトーンを下げて聞くといいでしょう。
あまり丁寧にお願いしすぎると嫌みな感じを与えかねませんので、できるだけ短い言葉で伝えます。
相手の話が少しずつ脱線するケースもあります。
これもできるだけ早く軌道に戻すことが大切です。
なかには自分の得意分野ばかり話す人がいるので、会話に少し隙ができたときに勇気を持って軌道を修正します。
「おもしろいですね。
ところで・・・」と、相手に失礼のないよう、自分が路線に戻れば相手も乗せることができます。
あたり前ですが、新聞を毎日読むのも大切です。
現代はさまざまな情報網がありますが、新聞の一般紙は、子どものことから年輩者のことまで雑多な情報が豊富に掲載されています。
新聞の広告ひとつにも時代の流れが表れます。
聞き出す際の話のきっかけにしたり、会話を広げたりするのに役立てるわけです。
インタビューするときは、自分がどのような日常生活を送っているかがすべて出てしまいます。
挨拶の仕方、言葉の使い方、あいづち、おじぎの仕方・・・。
自分のすべてが出たうえで、瞬間的に信頼してもらえるかどうかが勝負です。
言い換えるなら、第一印象が肝心ということです。
長年インタビューをしていて気づいたのは、聞かれる側の痛み。
というものがあることです。
聞く側は、相手の痛みに無関心になりがちです。
おそらく、私も相手の痛みに気づかず、インタビューしながら知らず相手を苦しめたことがあったと思います。
聞く側は、聞くという目的だけを主眼にしているので、どうしても相手の痛みに気づきにくいのです。
親が子どもに、教師が生徒にたずねるときも聞かれる側の痛みが忘れられてきたのではないでしょうか。
相手の痛みに気づかず傷つけてしまえば、心を閉ざしてしまうかもしれません。
それで話が引き出せなくなるだけではなく、人間不信につながることもあるわけです。
逆に、相手の痛みに過敏になりすぎても、肝心な質問ができなくなることもあります。
どちらにしても、質の高いインタビューをするには、相手の痛みに気づかいながら、相手の気持ちにどのように入っていくか、ここにポイントがありそうです。
ニュースキャスターのKさんの鋭い切り込み方には、定評があります。
テレピ独特の方法ですが、政治家にグイグイ切り込むことで、相手を慌てさせて本音を引き出しています。
もちろん聞く対象によってテクニックは変えなければなりませんが、どこまで聞けばいいのか、加減しながら行うのが大切なのです。
睡眠不足だったり、仕事がたて込んでいたりすると、相手への気づかいがおざなりになりがちです。
そうすると、相手が「もう嫌!」という信号を出していても、信号を読み取れず、また読み取れなくてもいいと無神経になることもあります。
自分の目的だけで頭がいっぱいになってしまうからでしょう。
その意味で、自分の体調と精神を整えてインタビューに挑むことはとても大切です。
「誰にでも聞き出す能力はある」と言いたいところですが、現実にはインタビュアー!としての能力がある人とない人がいます。
向かないのは、スター的な存在の人です。
ターになる人はインタビュアーには向きません。
スターがインタビュアーになると、聞くのが目的なのに自分のことばかり話します。
見方を変えれば、自己中心的になるのです。
人は誰でも、多かれ少なかれ「私が、私が」という思いがあります。
相手の話を聞くときにこの思いがわき起こってしまえば、余計なことをしゃべりすぎてしまうのです。
しゃべりすぎると相手の自由を束縛してしまいます。
こちらが強い声や強い言葉で話をすると、相手に違和感、恐れ、緊張感を持たせてしまうのです。
聞き出すときに大切なのは、自分を無にして相手と向き合うことです。
自分が無色でいれば、相手の色がフワッと出てきます。
こちらは相手の色をながめさせていただく。
相手を信頼し、肯定する。
この姿勢から、相手を敬う気持ちがじわりじわりと、自然ににじみ出てくるのです。
そうすると、相手のこれまでの人生のなかで、あるいは今、どういうテーマがあるのか、心の深い部分に出逢えます。
出逢ったら、もっと深く、相手の問題を見つけていけばいいわけです。
口はばったい表現ですが、質の高いコミュニケーションの根本にあるのは愛情です。
人間としての愛情です。
その人によく生きていただきたい思いと言い換えてもいいのですが「ささやかながら、自分が聞くことであなたが道を見つけてくだされば、私はそれ以上のことはありません」という思いがあれば、自然に相手に伝わります。
そこから心を聞いていきいきとした話になることもあります。
相手とうまくやっていこうと思うなら、相手の話を聞く時聞が必要でしょう。
じっと向き合ってくれた相手には、好意を抱くはずです。
聞いてもらうことは癒しにつながります。
それでも、聞く側が偉いわけではありません。
基本です。
自分のことを話し続けると自己アピールになると誤解している人がいますが、かえってボロを出すこともあります。
伝えたいことの半分くらい話せばちょうどいいのではないでしょうか。
「押し過、ぎず、引き過ぎず」がコツなのです。
聞き出すことは、人生を見せていただくこと私には、仕事で出逢った忘れられないエピソードがあります。
その話は、長い間私を支えてくれました。
東京の練馬区にあるお宅にうかがったときのことです。
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人前で、平気でお乳を出して飲ませているわけです。
なかなかお目にかかれるシーンではありません。
傍らには、ご主人がおられました。
ウイークデーだったので、ご主人の在宅を不思議に思って聞いてみますと、遠距離の大型トラックの運転手をしているときに事故に遭い、ちょうど静養中だったのです。
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